カベの向こうの女の子
ロングヘアーも負けないくらいに、いや、負かすくらいに、強気な表情をするかと思った
だけど彼女はただ目を反らして、黙って歩き出した
だから俺はなんとなく拍子抜けする
俺はロングヘアーに従ってまた歩き出した
ロングヘアーの後頭部を見つめつつ、世間は狭いなと今さらながら思った
まさかあの須釜と会うことになるなんて…
「なぁ、俺、バイクで来てんだけど」
俺がロングヘアーの背中に呼びかけると、ロングヘアーを揺らして彼女は振り返った
このまま彼女に着いていったら、駐車場を通りすぎてしまう
ロングヘアーは今さら強気な表情を作って、言った
「乗せてよ」