カベの向こうの女の子
校門の前で待っていた春菜は遠慮がちに笑った
「今日はいきなりごめんね」
風のせいで春菜の髪の毛が靡いている
目の前の春菜を見ると、胸がじんわり熱くなってくる
「ううん、別に大丈夫だけど」
「良かった」
春菜はにこやかに微笑んで、歩きだした
俺も合わせて歩きだす
少しうつ向き加減で歩く春菜はいつものように、笑っていない
俺は胸騒ぎがした
「春菜?」
思わず呼ぶと春菜は、「あのね」と話始めた
「あたし、聞きたいことがあるの」
ドキリとした
春菜の表情はこわばっていて、いい話じゃないことがすぐにわかった
なにを言われるのか、頭の中で瞬時に模索する
春菜のかまぼこ型の目は、俺の目を直視したがっていなかった
「聞いてみたいだけなんだけど…」