君、依存



 「……はい。」

 数秒間、静寂が走る

 「…那香?」

 「……うん」

 龍は驚いたみたいに
 私を呼ぶ

 いつもみたいな
 優しい声だった。

 「やっと出た…
 なんで電話出なかった?」

 「あ…ごめんね、
 寝ちゃってて…。」

 「そっか。
 何も言わずに先帰るし
 電話でないし…心配した…」

 声が震えてる気がした
 心配…本当にしたのかな

 どれが本当なのか分からない

 今此処で夕方の事、
 私が話すとどうなるんだろう

 次龍と話したら夕方のことを
 聞くつもりだった

 …でも、

 浮気された悲しみや憎悪より
 龍が私から
 離れてしまいそうで
 ただ、怖かった。



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