堕ちていく二人


そのお金で私は好きにさせてもらうから。
これからは、この家のご主人様は私ですからね。
私の言うとおりにしないとタダじゃ済まないから。
貴方は私の奴隷なの。
よく覚えておきなさい」

玲子は蛙を睨みつける蛇のような目で桂司を見つめ、隠し持っていたナイフを桂司の喉元へ向けた。

桂司は玲子の本性を見たようで恐ろしくなり、すごすごと自分の部屋へと退散して行った。


その日から桂司は玲子の従順な奴隷に成り下がった。
当然亜美とはきっぱりと別れさせられ、お酒を飲む事も厳禁になった。
給料の全額を玲子に渡し、休日は外出も許されなかった。
掃除・洗濯・食事の支度まで桂司が全部やることになった。

玲子に精神的に完全に支配された桂司は、それに黙ってただ耐えていた。

仕事の付き合いで桂司がお酒をのんで帰宅すると、玲子は桂司の頬を平手打ちした。

そんな時、桂司は身体をブルブルと震わせて拳を強く握りしめるのだったが、玲子に対してそれ以上は何もする事は出来なかった。


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