堕ちていく二人
『貴之君、メールありがとう。
本当にお久しぶりです。
最後にあったのは確か五年前でしたね。
私の方は結婚後いろんな事がありました。
貴之君は未だ独身でしたね。
私も貴之君に会いたいです。
会っていっぱい話したい事もあります。
次のお休みはいつですか?
貴之君に会えるのを楽しみにしています。 玲子』
文章を送信して玲子は少し笑顔になった。
貴之から直ぐに返事が返って来た。
『次の土曜日か日曜日はどうかな?』
『土曜日なら会えると思います』
『それじゃ、中学校の正門の前で待ち合わせしようか。
時間はいつ頃がいいかな?』
『12時にしましょうか。
一緒にお昼を食べましょう』
『了解しました。
玲子ちゃんに会えるのを心待ちにしています』
『私も楽しみです。
それでは土曜日に』
貴之とのメールを終えた玲子は、長い間見ることのなかった中学校の卒業アルバムを開いた。
楽しい思い出がいっぱい詰まった卒業アルバムからは、とても懐かしい香りがした。
そこには夫桂司との生活で失ってしまった素朴な笑顔があった。