初恋
口紅はナチュラルな色を使った




思ったよりもなんとかなった



まとめていた髪を乾かして、帽子をかぶって、コートを羽織った




鏡を見れば、化粧の力を思い知らされた



カバンに財布や携帯を詰め込んでいると、インターホンが鳴った



ブーツを履いて外に出ると、櫻木先輩がいた



大きな目を更に大きくしている



キモかったかな




「おはようございます」


鍵をかってから頭を下げると、



「お、おはよう」



先輩は少しどもりながら言った



「あの、…変ですか?」


勇気を出して聞いてみた



顔を見れずに俯いていると、



「いや、…いつも以上に可愛くなってて…」



どんな表情で言ったかは分からないけど、死ぬ程嬉しかった



「…ありがとうございます」



先輩を見上げて言えば、ニコリと笑顔になって後ろを向いた



「じいちゃんが、どうしても冴川ちゃんを早く見たいって言って…」



先輩の少し離れた所に、高そうな車が停まっていた



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