初恋
「ねぇ、あのさ」



道端に座り込んだ私に、しゃがみ込んだ先輩が言った



何かと思って顔をあげたら、



キスされた




本当にこんな事ってあるんだぁ とか普通の女の子みたい!なんて感動しつつ、嫌がってない自分にびっくりした




首元に置かれた先輩の手は冷たかった



何秒かした後、ゆっくりと先輩が離れた



「俺じゃぁ、だめかな?」



風が吹いて、先輩の甘い香水の匂いがした



「柊城みたいに泣かせたりしないし、何よりも一番大切にする。わがままだって聞いてあげるし、寂しいなら授業抜け出して一緒に俺が授業受けるよ…高校がどうとか言って、さっきは逃げたけど…何かされたら助けに行くから…」



今時の中学生は凄いなぁとか思いながら、こんなに自分の事を考えてくれる人がいるんだと嬉しくなった



櫻木先輩から、離れよう



相手の幸せを考えるのも、一つの愛情だとテレビで誰かが言っていた



「私なんかで良ければ、お願いします」



制服の袖で涙を拭ってから、先輩の顔を見て言った



簡単な人間だな、私って
< 190 / 238 >

この作品をシェア

pagetop