初恋
18
外は少し暗くなり始めていた




風が制服をすり抜けてきて少し寒い




家についた頃、携帯が鳴った




先輩からだった




電話する時間があるなら勉強すればいいのに





「もしもし」




「もしもし、ごめんね。今起きたんだけどさ、本当にごめん」




先輩は珍しく焦ったように喋っていた




「受験勉強で疲れてるんですから当たり前ですよ。ゆっくり休んでくださいね。私こそ、勝手に帰ってすみませんでした」





「それは全然いいんだけど、明日から別々なのにこんな終わりって寂しいじゃん」





「先輩が高校合格出来たらいくらでも会えるじゃないですか」




「そうなんだけどさー」





毎週土曜日は入院してるお友達のお見舞いだからって私立は受験しなかった




日曜日に受験の私立もあったけど、行きたいところではなかったみたい




私立受けなくても、公立で合格すればいいだけの話だろ?




あの頃はそう言ってた






「頑張ってくださいね。私、いつも応援してますから」





「ありがとね。なんか元気出てきたわ」




「そういえば、先輩ってどこ受けるんですか?」




「言ってなかったっけ?○○高校だけど」




進学校だった。そりゃあ出来る先輩も勉強するよね、なんて思った
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