天狗様は俺様です!
「普通なら言えるわけないだろうけど、演技なんだから言わなきゃ!」

 反論するようにミヤちゃんはまたも叫ぶ。


 メガホンのように丸めた台本をカイにビシィッと突き付けた。

「戒くんだけなんだからね!? ちゃんと出来てないの!」


 はっきり言われ、カイは何も言い返せないようだ。



 そりゃそうだよね。

 事実だし。



「……んなこと言ってもな……」

 それでもカイは諦めが悪いようで、ぶつくさと愚痴を言っていた。



 子供かあんたは!?


 皆がいなけりゃ口に出して突っ込んでいたと思う。


 でも、クラスメイトが全員揃っている今の状況でカイと親しい所はあまり見せたくなかった。

 二人とも転入してきたばかりということになっているのに、『何でそんなに親しいんだ?』と聞かれた場合説明に困る。


 だから私は呆れのため息だけにとどめた。


 そしてそのため息は私以外の人もしている。

 ミヤちゃんもその一人で、ため息をついた後重々しく口を開いた。



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