天狗様は俺様です!
「嫌がれば嫌がるほど感じるように俺が仕込んだからな」


 ニヤリと愉しそうなカイの笑顔に、しばらく思考停止状態になる。



 …………は?

 仕込んだ?

 嫌がれば嫌がるほど感じるように?



 やっと動き出した頭も、最初はカイの言葉を繰り返すばかり。


 そうしている間に川内くんが口を開いた。


「そーゆーことかよ。ならもう少し楽しみたかったけどな……。ま、何にしろオレはもう帰るぜ?」


「おう、さっさといなくなれ。俺はまだコイツにお仕置きしなきゃねぇからな」


 なんて言葉を交わすと川内くんは林の中へ戻って行った。

 最後に、私に「学校でな」と言い残して……。




 川内くんの姿が見えなくなると、カイが「さてと」と呟き私を抱き直した。

 服の上から胸を掴むように。


 その瞬間私は後悔した。


 さっき二人が争ってる間に逃げれば良かった!


 本当に逃げられるかは別として、試しに暴れてもみなかったことに後悔する。



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