天狗様は俺様です!
 数日前の出来事を思い出して、顔をしかめている私に気付く様子も無く、川内くんはそのまま明るい声で話す。


「“川内くん”って……よそよそしいなぁ。速人って呼べよ」


 そのセリフに、しかめっ面は引きつり顔に変わってくる。


「だってオレ達、数日前にイイコトしたな――」

「ぅわーぎゃーーー!」


 川内くんの口からとんでもない言葉が出てきそうなのを感じ取り、私は奇声を上げながら彼の席に走りその口を両手で塞いだ。



 何言おうとしてるんだこのハゲ河童!?


 必死に口を塞いでいる私に、川内くんは目をむいて驚いていた。


 対する私はというと……。



 や、ヤバい!?

 この状況かなりおかしいよね!?

 どうしよう……。

 何とか誤魔化さないと!



 なんてテンパッていたら、近くにいた女の子が噴き出しクスクスと笑い出した。


 ふわふわした猫っ毛が特徴の可愛らしい女の子。

 彼女は笑いながら「ごめんなさい」と笑ったことを謝ってきた。




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