天狗様は俺様です!
「貴方面白い人だね。えっと……実花ちゃんって呼んでもいいかな?」

 見た目同様可愛らしい声で名前を呼ばれ、何だか嬉しくなった。



 『実花ちゃん』……。

 この河童が私を呼ぶときと同じ呼び方なのに、どうしてこうも違うんだろう。



 私は嬉しくて河童――じゃなかった、川内くんの口を押さえたまま彼女に返事をする。

「う、うん! そう呼んでくれると嬉しい。……あ、貴方の名前は?」


 聞くと、「あ、ごめん」とまた謝られる。


「こっちから名乗るのが礼儀だよね? 私は金木 美弥(カナキ ミヤ)。ミヤって呼んで」

「ミヤちゃん?」

 明るく名乗った彼女の名前を言われた通りに繰り返して呼ぶ。

 するとミヤちゃんは嬉しそうに微笑みながら頷いた。


「うん!」



 ……どうしよう。

 この子本気で可愛い。



 今すぐ抱きしめたい衝動を私は必死で抑えていた……。


 そうして黙っていると、ミヤちゃんが申し訳なさそうに申し出る。




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