天狗様は俺様です!
「そこで黙るなよ!?」

 と突っ込まれた。



 そのまま言い合いが続きそうな雰囲気だったけど、冷静な声がそれを両断する。


「そこまでだ」


 低い冷徹そうな声は、教室中に響き渡った。

 その声の主を見るのがなんだか怖かったけど、そうもいかないので恐る恐る振り返る。


 声の主、担任の三尾 信也(ミオ シンヤ)先生はその鉄面皮を崩すことなく言葉を続ける。


「とりあえず本條は空いている席に座れ。後で席替えでもしてその仲のいい川内と金木と隣同士にしてやるから。……早くSHRを終えないと始業式が始まってしまう」

 
 川内くんとも隣同士にするって所に異論を唱えたい気分だったけど、そんなこと言ったら視線だけで瞬殺されそうな気がしたのでやめた。


 私は「はい」と返事をし、大人しく後ろの空いている席に座る。



 三尾先生は職員室で初対面したときから無表情。

 初めは怒っているのかとも思ったけど、ピリピリした雰囲気は感じない。
 元々こういう先生なんだと思う。




 まあ、何はともあれ川内くんが初めに呼びかけてくれたおかげでミヤちゃんという友達も出来た。


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