天狗様は俺様です!


 っく!

 同じ手は通用しないってことか……。

 カイのくせにやるじゃない。



 なんて変に見直したりしてしまった。



 でもどうしよう……。

 これじゃあますます逃げられない。



「これで身動き取れなくなったな?」

 私の考えを見透かしたように、カイは耳元でそう囁く。


「くぅっ」

 悔しそうに呻く私の声すらもカイは楽しんでいるみたいだった。

「命令して動かせなくするのは簡単だが、こうやって力ずくで身動き取れなくするのもたまにはいいな……」

 そう言って耳の縁を舐められる。

「っっっ!?」


 その瞬間ゾワッと肌が粟立ち、体が硬直してしまう。



 いつもとは違う動かせるはずの体。

 でもカイの――男の力には敵わず動くことが出来ない。


 その力の差が悔しかった。


「そうそう。泣きそうな顔もイイけど、そういう悔しそうな顔もイイよな。……その反発するような目、いつまで続くか見ものだぜ」



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