*coffret a bijoux*(SS集)
「……そう?

でも、じゃあどうして――…」




まだ少しだけ不安そうな
瑞樹クンの瞳。




あたしは彼にきちんと
伝わるように、まっすぐに
その瞳を見つめて言った。




「初めて呼び捨てで呼ばれ
たら、なんか嬉しくて、
ドキドキして……。

それでちょっとボーッと
しちゃっただけ」




――ホントだよ、瑞樹クン。




あなたがあたしをそう
呼んでくれることを、
過去の誰と比べることもない。



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