*coffret a bijoux*(SS集)
観念して、あたしはため息
混じりに答えた。



そもそもどこでもいいって
言ったのはあたしだし、
今も思いつく希望地がある
わけじゃない。



(柊弥がそんなに行きたい
なら、それでいいか)



柊弥が楽しんでれば、
きっとあたしだって楽しい。



ありきたりじゃないのも、
考えてみればあたし達
らしくていいかもしれない
って思えてきた。



「よし、決まりな」



嬉しそうに唇をあげて笑う柊弥。



こうしてあたし達の新婚
旅行――ハネムーンの
行き先は決定した。




あたしは二人分のコーヒー
を手に柊弥の前の席に座る。


マグカップをテーブルに
置いて、自分用のパンを
トースターにセットした。
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