*coffret a bijoux*(SS集)
あれ……。


直接的に言ったつもりは
なかったんだけど、ボクの
言葉の裏にある真意に、
彼女はちゃんと気づいたみたい。




「……ボクは、小さくて
かわいいレディだと
思いましたけれど?」




「もういいの。

……鞠花もよくわかったわ。


ママみたいに一人で
お店に入れなかったし、
座っててもすごくドキドキした。

ママがおいしいって
言ってるお砂糖を入れない
紅茶も、おいしくなかった
もん……」




シュンと肩を落として言う
鞠花ちゃん。




残念そうではあったけど、
彼女の中で何かの諦めが
ついたのか、その瞳は
どこかサッパリしている
ように見えた。



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