迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*上*
航くんの言っていることがだんだんわかってきた。
つまり……“そういうこと”はしない、ってことだよね?
手は出さない、ってことだよね?
ひとり結論付けた私に、
「でも……1つだけ、いい?」
航くんはそっと手を伸ばした。
「え……?」
気づいたときにはもう遅かった。
航くんの指先が私の頬に触れたかと思うと、一気に顔が近づいてきて……
次の瞬間、唇が重なった。
ほんの一瞬。
一瞬…なんだけど……
「……っ」
慌てて口を押さえた私に、
「記念に、ね?」
航くんはにっこり笑った。
……言ってることが違う。
思わず抗議しかけたけど、
もしかして、キスは入らないのかな?なんて考えちゃって……
何より、初めての感触に、私はかなり戸惑っていた。
何、コレ……
これが、キス?
私―――
もちろん、これが私にとって“ファーストキス”だった。