女は雨の中で
私は果たして、女なのだろうか。


またしてもこの疑問が解決しないまま、もうすぐ年が明けようとしている。

年末年始はいつも静かだ。みんな家族と過ごさなければならないから。

そういうことはちゃんとわきまえているつもりだ。

でないと、やってられない。

昨夜のシャンパンのせいで早起きしてしまった私は、冴えた頭で醜い顔を鏡に映した。

二日酔いがないのは、花粉症ではないのと同じくらい、恵まれているのだと感じている。

特権階級。

そんな気分の中、視線を感じた。

女の子や女の人にじろじろ見られるのが昔から苦手だった。

笑い声でも上がろうものなら、溶けて消えてしまいたいほど惨めになる。

みんな私の何をうわさして、バカにしているんだろうと思う。

腫れぼったい瞼だろうか。

それとも、大きめで形の悪い胸だろうか。

鏡の中の私と目が合った。

目を背けてもなお、私は視線を感じ続けた。


昨日の昼に飲み残したコーヒーで喉を潤し、灰皿の中で燃え尽きたタバコを眺めた。

そして改めて、早起きを悔いた。

もう一度ベッドに潜っても、二度と睡眠が復活しないことはわかっている。

ただでさえ暇な年末を自ら延長してしまった。

昨晩、クリスマス・イヴを二日前倒しして小宮に会ったことが、ひどく腹立たしく思えてきた。



カーテンを開けた。

まぶしい朝日を覚悟して目を細めたのに、どんより重い雲が眠そうにこちらを見ていた。

六時前の通りには、文字通り猫一匹いなかった。


そろそろ雨が降るのかもしれない。


そうだ、午後は思う存分昼寝をしよう。

そう思うと、気分は随分よくなった。

休日をだらだら一緒に過ごす友だちはいない。

もちろん誰かが隣の席に座れば、天気の話ぐらいはできる。

でもそのあと、くだらない恋愛話や面白くもない笑い話に付き合いたくはなかった。

誰かと仲良くするというのは苦手だ。

特に、女の子とは。
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