泣きたいわけじゃなくて
肝試し
―夜―
「さぁ、今から肝試しだぞー。じゃあ、ペアごとに並んで手を繋げよ〜。
はぐれると面倒くさい事になるからな!」
私は昼間、強引に明実が決めた相沢君の隣立っていた。
「あっ…手…」
「繋がなくていいよ。」
「いや…繋ぎます。怖いんで…」
「…。」
少し歩いていると茂みの陰から「うらめしや〜」と言われ、びっくりして相沢君に飛び付いてしまった。
「ギャーーーーー!!!!」
ガシッ
「うわっ!」
「あっ!!ご、ごめんなさい…」
「いや、別に…」
「ねぇ、相沢君って教室でいつも1人だけどどうして?」
「だってグループとかに入ったら人に合わせて何でも一緒って感じだから。
そこまでして人に合わせると疲れそうだから。」
「そっかぁ。
確かにね…。私も1人になっちゃった…。これからどうしよう…」
相沢君にこんな事言ったってしょうがないのに、今の私にはその言葉を止める事さえ、自分を傷つけるもとになっていた。