君だけしか映らない
それにしても…



「ねぇあの人カッコいいよね!?」


「モデルでもやってるのかな?」



さっきからすれ違う人たちから聞こえる声。



(あぁ……やってしまった)


なんで今日に限ってこんな格好で来ちゃったんだろ…


いや、まぁ普段からオシャレなんてしないから、頑張ったって大して変わらないけどさ…



「荒川…?どうした?」



黙ったまま俯く私に佐伯悠哉が話しかけてきた。



「あ……いや…あの…私の私服…ダサいよね?…なんかごめん…。」



「は?なんで謝るんだよ。別に謝ることじゃねーだろ?」



「……っ!ホントにそう思ってる…?」



「あぁ。」



佐伯悠哉の言葉に心が温かくなった。
今日はやけに優しい気がする…。




「オシャレをするのもしないのも、その人の勝手だろ?だけどお前…バイト代って何に使ってるんだ?そんなに私服が気になるなら、バイト代で服買ったりできるだろ?」



「…バイト代はちゃんと自分の為に使う予定だよ。だから今はその為に貯金してるの。」



「貯金?なんの為に?」




「…高校卒業したら一人暮らししたいから…。」



「は?マジで!?」



「…うん。」



「もう将来の夢とか決まってんのか?」



「…まぁね。」



「お前の将来の夢って「もう私の話はいいから!」



突然笑美は佐伯悠哉の話を遮った。




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