君だけしか映らない



(佐伯くんの心臓の音すごい…)



お互い無言のまま何も話さず、笑美は佐伯悠哉に身を任せていた。








「……なんか話せよ。」



突然沈黙を破ったのは佐伯悠哉だった。




「なんかって…この状況で?じゃあとりあえず離してよ。」



「…それはヤダ。」




(ヤダって…。)






「…佐伯くん。心臓の音すごいね。」




「当たり前だ。好きな女を抱き締めてんだから。…オレだって緊張くらいする。」



(……っ!/////)



今度はドキドキと笑美の心臓の音がうるさくなる。




(不意打ちで今の言葉はズルいよ…)




「なぁ…荒川はオレの言ったことまだ信じられないのか?」



「それは…」




徐々に佐伯悠哉の気持ちが本物だということが伝わってきた。


何よりドキドキと聞こえてくる佐伯悠哉の心臓の音が嘘ではないと言っているようだった。



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