君だけしか映らない

――――

「よし、じゃあみんな気を付けて帰るように。」


先生がそう言うと、みんなは一斉に席を立つ。


部活に行く人、バイトに行く人、その場でお喋りをしている人などで賑やかになる。



笑美は隣の佐伯悠哉をチラチラ見ながら、話しかけるタイミングを伺っていた。

(どうしよう…話しかけたいけど…)



佐伯悠哉は加藤たちと楽しそうに話している。


(さすがに、今は話しかけられないよなぁ…。)



―そう思っていた時。



「委員長ちょっといい?」



「え……?」


そう言って目線をあげると笑美の体はビクッと固まってしまった。



「……町田さん。」


「話したいことがあるからちょっと来てくれる?」



それはとても嫌とは言えない雰囲気で、思わず笑美は「うん」と言ってしまった。



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