君だけしか映らない
―――
嫌と思う程時間が過ぎるのは早い。
あっという間に昼休みになってしまった。
授業中、佐伯悠哉に話しかけられることはなかったがその不機嫌なオーラは教室中に漂い、午前中の教室はなんとも居心地の悪いものだった。
(どうしよ…昼休みになっちゃった…。お昼ご飯買いに行かなきゃいけないのかな…。)
―ガタッ
(……!!)
「これで昼飯買ってきて」
そう言って佐伯悠哉からお金を渡される。
「食べ物はお前に任せるから。それと、買ったら屋上じゃなくてここに来い。」
佐伯悠哉は小さな紙を笑美に渡した。
(…何だろうこれ?)
「じゃあ先に行ってるから」
「ちょっと…」
笑美の言葉に足を止めることなく、佐伯悠哉は教室を出て行った。
佐伯悠哉が出て行ってから渡された紙を開いて読んでみる。
『旧校舎の非常階段に来い。あと、お前も弁当持って来い。』
なんで旧校舎の非常階段?あそこは人が全く行かない場所。それにこの文章から笑美もそこでお弁当を食べなきゃいけないように思える。
一緒に食べるのは嫌…。でも午前中の不機嫌オーラを午後も出されると厄介だ。
笑美は仕方なく自分のお弁当を持って購買に向かった。