雨降りの土曜日
全てを見たくなくなったあたしは、頭から布団を被って逃避する。

暑い。

息苦しい。



ぁー、このまましんじゃわないかな。





………なんて、ウイルス性ネガティブ症に支配された心が今にも世界破壊を望もうという時に、





携帯が鳴った。

それは通話の着信ではなかった。



半ば条件反射で、素早く布団の外にある携帯を引っ掴む。
真っ暗な布団の中で開いた携帯は…一瞬目を背けるほど眩しかった。



メールが来ている。

「彼」からだ。



とてもシンプルな内容で、今日のデートを中止しようと記されていた。

「彼」は感情的になるとメールの内容が簡潔になる………。



そのメールを何度も読み返しているうちに、「彼」の気持ちがじわじわと染み出してくる気がした。
つられて、私の涙腺がじわじわと緩んでくる。





気がつけば、「彼」に電話をかけていた。
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