恋愛温度、上昇中!
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「久しぶり、じゃないわよ」


丸いフォルムの真っ赤なチェアに収まるスリムな体型、しなやかな腕を交差させて、膝丈のスカートからは細くて引き締まった足首に続く長い足を惜し気もなくなだらかに組んでいる。
栗色の指通りの良さそうな髪を掻き上げて祥子は不満気に眉を潜める。女王様の気質はばっちりだ。



いつものランチタイム。最近は今回のイベントの事で忙しかったから、不規則な時間の為に祥子に会うのは久しぶり。



「忙しいって、連絡する時間くらいあるでしょ?あんまり待たせるとキレるわよ、私もいい加減。」


半分キレてるじゃないか。と言いたい言葉は苦めのコーヒーと共に飲み込んだ。
私は何故か祥子に、最近会えなかった言い訳をして謝っている。



恋人同士?



それならもう少し蜂蜜を垂らした甘さが欲しい。


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