恋愛温度、上昇中!

湯気でレンズが曇るのを見ながら、私はまだ機嫌の直らない祥子に一度咳払いをする。


「…新橋さんとはどうなの?」


会話を変えなくては。


あの日、新橋さんに拉致られてから一週間。この二人は実際、どうなっているのか気になっていた。
大体、祥子は彼の二面性についてどう捉えているんだろう、とか。



祥子は一瞬、驚いた様に綺麗にラインを引いてマスカラを施した瞳を二倍位に見開いてあたしを見つめた。

それから、艶やかな口元を魅力的に上げる。


あたしにはその妖艶な仕草も、獲物を見つけた肉食獣がニンマリと笑ったようにしか見えない。


つまり、いい予感が全くしない。



< 296 / 418 >

この作品をシェア

pagetop