恋愛温度、上昇中!
絡まる視線、きょとんとした顔の山都さんとあたしは何の壁もなく数秒見つめ合った。
―――――…短い沈黙は、すぐに破かれる。
「ふはっ、本当、ちょっ、予想外」
山都さんが堪えきれなくなったかのように口元を抑えてクツクツと小さな笑い声をあげたから。
「なんで、高見ちゃんってそんなんなの?」
ああ、この言葉は聞いた事がある。この後に『可愛くない』と続いたら『それが何か?』とでも言ってやろう。そう決めたあたしを余所に目の前のこの人は、
「そーゆうとこ、たまんない」
また、目を細めて笑った。
「なっ…」
予想外だったのは言葉よりも
「本気で欲しくなるよねー、あー困る」
いまだおかしそうに笑うこの人の笑顔が、
「じゃ、次行こっかー?」
真っ黒なのじゃなくて、色気があるやつでもなくて、胸を突くような素の笑顔みたいだったから。