少年少女リアル
 息を切らして第二体育館へ入ると、頭にリボンをつけた女子生徒がすぐに寄ってきた。

「何年何組ですかぁ?」

語尾を伸ばす話し方は如何にも頭が悪そうな印象を植え付ける。
応答せずに肩で息をする僕等は、まるで瀕死状態だ。
話にならないのを見兼ねてか、看板を覗き込むと、彼女は目を輝かせた。

「あっ、二年の……執事喫茶のクラスですねぇ!」

よく見ると、生徒会の腕章をつけている。

生徒会?
この女が?

思わず嘲り笑いが零れたのを、頷いて誤魔化してみせた。

「やっと来たぁー! あっちに運んでもらえますぅ?」

上にごついマスコットがついたボールペンを体育館の奥へ向ける。

「多分、文化祭委員の子が来てたんだけどなぁ……あっ、いたいたぁ!」

ボールペンの先には、確かに向井さんが立っていた。

「じゃっ、お願いしますねぇ」

くるりと踵を返して、腕章をつけたもう一人の仲間の元へ帰っていく。
ポケットからはみ出た携帯電話のストラップが、歩く度にジャラジャラと音を立てる。

「……はっ、強烈な女」

佳月はぼそりと僕だけに聞こえるようにそう言ったが、あまり耳に入って来なかった。
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