少年少女リアル
 肘でそのまま看板を押し戻すと、ほっとしたのか、加治原は溜め息混じりに笑った。

「あっぶなかったぁー! ……大丈夫?」

自分の腕にすっぽりと収まった向井さんの顔を覗き込む。近い。

まるでドラマのワンシーンみたいだ。いや、最近のドラマでもこんな演出しないかもしれない。

コクリと頷く彼女。耳まで真っ赤になっている。

「ご、ごめんなさい……!」

「怪我しなかった?」

「はい。あ、あの……!」

彼女は顔を上げないまま、目を泳がせている。
口の中で言葉を探していたようだったが、続きの言葉は見つからなかったようだった。

「ああっ、ごめんごめん!」

ぱっと抱いていた肩を手放す。
それでも、向井さんは肩を強ばらせたまま、眉をハの字にして黙っていた。

「……でも、奈央が無事なら、良かったよ」

微笑む顔は優くて、良い奴で、反吐が出る。漫画にでも出てきそうだ。


見せ付けたいのか?

虫酸が走る。光景に。状況に。いや、二人に、だ。

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