桜空2
「……でもよかったわ。お母様…普通の方だったみたいで」
「そうか?まぁ、あいつは私も自慢の妻だったからな」
父は自慢気に言った。
「……という話だが…満足したか?桜」
「えぇ、ありがとうお父様」
私はお礼を言うと殿の間を出た。
「――…よかった…なんかすごく安心したな…」
母が素敵な人で。
私はそんなことを思いながら自分の部屋に戻った。
「――桜!!」
私は部屋に入ろうとして後ろから声をかけられたので振り向いた。
「――海……!!」
そこには親友の姿があった。
「どうだった…?殿様とのお話…」
海は少し心配そうに聞いてきた。
「――…えぇ…思ったよりいい話だったわ。お母様も予想以上に素敵な方だったみたいだし」
「そう…よかったわ。桜が菫様のことを誇りに思ってくれて」
「え…?」
「ううん…菫様は本当に立派な方だから…桜にそのことが伝わってよかったわ」
「そっか…」
「えぇ。だってあたしが成宮の名前を背負うことを決心できたのも菫様のおかげだしね」
「えっ!!そうなの!?」
海はクスッと笑うとコクりと頷いた。