俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
「ほんと、優しいよ」と言って笑った彼の瞳は、なんだか哀しいものだった。
「翔くん…」
「ま、もういんだよ。俺分かっちゃったし」
「え?」
「悠由マジでアイツに惚れてるしーなんか勝てそうにないし」
マジで惚れてる、と言われ、カッと赤くなった顔を慌てて隠すように俯く。
「だからもう気にすんなって」
その言葉と優しい心とは裏腹に、やっぱり、とても哀しい瞳だった。
つい、「ごめんね」と言いそうになった。
でも…なにが?
なにに対してごめんねなの?
喉まで出かけた言葉を飲み込んだ。
「…ありがとう! あたしもう一人で帰れるからね」
分かれ道をいいことに、無理やり笑顔を繕って手を振り、駆け出した。
…なんであたし、逃げてんの?
自分が傷つきたくなくて人を傷つけてるんじゃないかな…。
「先輩……」
やだ…先輩に会いたい。
なにがか分かんないけど、先輩に「大丈夫だ」って言われると安心するんだ。
声が聞きたい。
よしよししてもらいたい。
抱きしめて、あったかいキスをしてもらいたい。
途端、先輩が恋しくなって涙がにじんだ。