俺様狼と子猫少女の秘密の時間②

「そりゃあれよ。先輩だって悠由に会いたいのよ」


話し終わったときの第一声は、杏子でなく美紅ちゃんのそれ。


先輩が……先輩が……。

あたしに会いたいの?


「…やはっ❤」


「ちょっと。マジでも嘘でも言わないの! 自分の世界入っちゃったじゃない…」


「ごめんごめん。つい、さ。…だって面白くない? 悠由の惚気聞くの」


「まーねー…。友達が彼氏の話すんのイヤっていうの多いけど、それその子の性格によりそう」


「ていうか悠由が特別なのよきっと」


電車を待つ間、こそこそと耳打ちしあう二人の横で、一人勝手に照れるあたしだった。


「あ、ほら悠由。来たわよ」


「え?」


あーほんとだ。

あたしそういえば、意外と電車乗ったことないかも。


「人多いね」


「そりゃね。夏休み真っ只中ですから」


「お盆なんてきっともっとすごいわよ」


三人でそんな会話をしながら車両に乗った。


「…そういえばどこ行くの?」


「……それもっと早く聞こうか」


だって…。

今思い出したんだもん。


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