俺様狼と子猫少女の秘密の時間②
口に出さないまでも、彼はあたしの言いたいことが分かるみたいだった。
「あのさーそろそろ返事ほしいんだよね」
「返、事…?」
じり…と少しずつ足を後ろに滑らせる。
「…そっ。へーんーじ」
「返、事……」
後ろに行っても右に行っても左に行っても。
槙野くんは倍のスピードで近寄ってくる。
ついに、壁まで追いやられた。
「…!」
「そんな逃げなくたっていいじゃん?」
「きゃっ…」
後ろの壁に、ドンッと手をつく。
顔の真横にある腕が、なんだか怖い。
「……っ」
「篠原龍樹がなんだっての?」
「えっ……」
一瞬、ドキリとした。
言った瞬間の彼の瞳が少し揺れていたように見えて…。
その瞳に、見覚えがあったような気がしたから。