黒い大きな犬
「迎えに来たよ。坊や」
闇の中からその声は聞こえた。
僕は闇の中、目を凝らしてその声の主を探した。玄関には誰も立っていない。一瞬、夢を見ているんだと思って頬をつねる。そこにチクリとした刺激がある。これは夢なんかじゃない。
その時、彼はゆっくりとその姿を現す。

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