─侵食─悪魔のような男

「お前ら大学一緒だろ?って俺もか…」



「不良のクセに勉強出来るんだね!」



肘でつつく咲に「まぁな」と一也は照れ笑いした。



「何事も無く過ぎていってほしいぜ…ったく何時まで見張らせるつもりかねぇあの人は」



"はぁーあ"とため息を吐き出して「じゃあな」と言って咲に背を向ける。



「また大学でね」



振り返ることなく手を振り、一也はその場を立ち去った。



「あたしも行くかな」



卒業証書を片手に咲は颯爽と歩き出した。



そんな咲の後には、爽やかな風が吹き抜けていった。
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