【企】携帯水没物語
「指輪とかはどう?」
リュウタがナナミを引き寄せて優しく言う。
「指輪?」
ナナミは男に指輪なんてもらった事がない。
嬉しそうに自分の指を眺めている。
「でも、指輪って高いでしょ?リュウタに悪いよ」
「大丈夫だよ。俺がナナミにあげたいだけなんだから」
「じゃぁ、あたしもリュウタに何かプレゼントしたい」
「いいよ、無理しなくて」
そうよ、無理しないで貰うだけでいいのよナナミ!
「でも…リュウタは何がほしい?」
あー!!言っちゃった!!
バカバカ!
リュウタはしばらく天井を見つめて「そうだな…」と考えているみたいだ。
「いや、ほしい物はたくさんあるけど高いからいいよ」
「あたしがリュウタにあげたいの。何?何がほしいの?」
ナナミー!
リュウタが欲しがる物って高いんだって。
あんたがバイトでコツコツ貯めた金なんて一気にふっとぶわよ。
「俺さ、実は◯◯のジャケット欲しいんだよね。でも高いからなかなか買えなくて…」
だったら諦めなさいよ、バカリュウタ!
「それ知ってる。リュウタなら絶対似合う」
「そうかな〜?」
「大丈夫。あたしそれなら買えるよ。リュウタに着てもらいたい」
ナナミが微笑むとリュウタも微笑み返してナナミをベッドに押し倒した。
「ナナミ、愛してるよ」
そう囁くリュウタをあたしは複雑な気持ちで見ていた。