紫陽花と星
雪星は、紙と筆を用意した。

そして筆を持ち字を書こうとした。
でも、いくら待っても紙に字は書かれない。
私は、待ちきれずに雪星に聞いた。

「雪星、どうしたの?なんで何も書かないのよ」
雪星は、閉じていた口を開いた。

「…どうしよう。…なんて書いていいのか分からない」
「別にいいじゃない。“好き”て書くだけで。それだけで充分伝わるわよ」
雪星は自信がないようだ。

「そうかなぁ」
「そうよ!綾小路だってそこまでニブくないわよ。自信もって!」
私は、そう言って雪星を励ました。

雪星は、何か決心したように「よしっ!」と言った。

「私、決めたわ」
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