新時代神話

夢中

暗い闇

その一角に光がある


そこには彼は佇んでいた


「浅黄さん!」

「成宮か。

ここは何処だ?」

「浅黄さんの夢の中です。」

「俺の夢の中はこんなに真っ暗なのか?」

「とにかく、目を覚ましましょう。」

「そういえば、お前は何でここに?」

「生徒会の奴らの力を借りて、です。」

「確か、夢の中で願いを叶えてくれるんだろ?

俺の願いはなんなんだ?」


「私にはわかりません、ですが、早くここから…」

「孤独が俺の望み、なのか?」

「何を、」

「この空間が俺の望む世界なら、孤独が俺の望み。」

「冗談はやめましょう。」

「なら、俺の望みはなんだ?」


「浅黄さん!」

「仲間を従え、強さを望み、誰かの下に付くのも嫌った俺の望みが孤独…」

「あさ…」

「ふざけるな!」

「えっ!?」

「この俺が自分自身ですら理解できない?

そんなわけがあるか!

これが望み!?

願い!?

くだらん!

俺は幻に己の望みなど託すものか!!

自分が望むものくらい、自分で手にしてやる!!」


空間が捻れる。

「…。

そういうことか。」

「どういうことですか?」

「簡単だ。

俺の望むモノは夢の中になんかなかった。

それだけだ。

さて、そろそろ、起きるか。」

「そうしましょう。」

「せっかく、夢の中にいるんだ。
現実では言わんことを言っておこう。」

「何ですか?」

「お前の助けは要らなかったが、一応来てくれたんだからな。


ありがとよ。」

「はいっ!!」


世界が開けた
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