新時代神話

夢中3

何なのだ、この異常なまでに落ち着く空間は。

まるで、ここにいるのを許されているかのような感覚。


「森?

ここにライカがおるのか?」


風牙は周囲を見回す。


そこには、一本の樹を挟み、背中合わせに座るライカと…幸大。


「ライカ、お主、見た目と違い、なかなか良い演出をするではないか。」

「風牙!

何でここに?」

「幸大からの頼み、とでも言おうかのぅ。

しかし、ここは妙に落ち着く場所だな。

夢の中とはいえ、ここまでとは。」


「夢の中?」

「知らんのか?」

「いや、なんとなく、そんな気はしてた。

でも、僕は、夢の中でも良いかなって思う。」

「しかし、それでは、こちらも困る。

それに、幸大は現実の中におる。」


「わかってるよ。

でもさ…

現実で僕に振り向いてくれると思う?」

「それは私にもわからん。

それこそ、神のみぞ知る、といったところだ。」


「だったら、僕はこのままでも良いかな。」


「ライカ、それは本気か?」

「…うん。」

スパンッ、

風牙が幸大を斬る。

「何を!?」

「そんな弱い存在に頼らなければいけないほど、お主が弱かったとはな。


私の買いかぶりだったやも知れん。」
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