Sleeping dream
「いいじゃん。
 妹なんだから。
 それに、お兄ちゃんがあたしに 合鍵くれたんだよ。」


彼女は廊下を通って、こっちに来る。


「それでも、勝手に入るなよ。」


ユウは頭を掻きながら、困った顔をしている。

リビングに入って来た彼女と目が合った。


セーラー服の彼女は真ん丸な目の上で切り揃えられた前髪と長い黒髪が印象的だった。

まさに美少女という言葉がぴったりだ。

彼女はキョトンとしている。

私も同じような顔をしているのだろう。


「こいつ、美央っていうだ。
 オレの妹。」


彼女は花のような笑顔になった。


「初めまして。
 妹の美央です。」


“香坂 愛です、よろしくね”と慌てて、私も挨拶をした。


彼女はニコニコして、私を見ている。



こういう空気、無理……



「……私、帰るね。」

気まずくなったので、とりあえず、帰ろうとした。


「待ってください!!」


引き止めたのは彼じゃなく、彼女だった。


「一緒にプリン食べませんか。」





.
< 77 / 144 >

この作品をシェア

pagetop