母親参上
息子よ…
長男、星太(しょうた)は5年生10才、真夏に11才になるのだが、いいのかと思うくらい頼りない。

この母にあり、この息子…なんだろうか、顔も似てるがぐ~たらさも良く似ている。

母は毎日、このぐ~たらな男を起こす作業に苦労している。

「何回、言わせるねん!はよ、起きや!」

「は~い。」

返事はいいよ。でも起きてくる気配まったくない。

「歯磨いた?着替えた?…おお~い!」

「…ん~今から」
おいおい、あれから何分たってるんだ。

こんな会話を毎日繰り返し、忙しい朝は彼のゆっくりした性格のおかげ(せい?)で、さらに忙しく感じるのである。

思い返せば、このゆっくりした性格…幼稚園の頃から母は苦労している。
ぐ~たらさは似ているが、母の性格はまったく逆なのだ。
適当に早い!これが母の基本である。だから、彼のゆっくりさには、ほとほと呆れているのだ。

その幼稚園から現在に至るまで、先生に言われ続けた共通したセリフ…それは

「マイペース」
ええ、確かに!否定はできない、むしろ肯定だ。

しかも数年前からは

「星太くんは、授業中も自分の世界に入ると、なかなか帰ってきません。」

なんじゃそりゃ~!?
妄想癖か?そうなのか?息子よ…母は、心配だよ。

良い先生に恵まれてきた息子は、そのマイペースをなんとか長所にと言っていただき、これまでなんなく過ごしてきたが、この先、このマイペースが困る時が来るんではないか…来るんだろうな

でもね、そんな息子だが、母は知ってるよ。
親思いの優しい子だ。
でもしか~し、母は、不安を覚えずにはいられないんだよ。

だって母は、後にも先にも、あなたの母なんだから…。
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