エクスタシー~極上のオトコ!?~
今だけ、あのケータイに写っていた人の代わりになってもいいのかな……。


私は抵抗をやめ、エクスタシーの腕の中でじっとしていた。


男の人に抱きしめられるのって、こんなに気持ちいいものなんだ……。


その心地よさに全身の力が抜けそうになった。


ふと、脳裏にカスミソウのような笑顔が浮かぶ。


自分がとてもいけないことをしているような気がした。


私はもう一度、彼の胸を押した。


「は、萩野さん。ケータイ」


そう言った途端、ハッとしたようにエクスタシーの腕の力がゆるんだ。


体を離し、距離を置いて見たエクスタシーは怖いほど真剣な顔をしていた。


「こ、これ……」


奪い返してきたものを差し出すと、彼は起き上がって、それを受け取った。


その顔に表情はなかった。





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