エクスタシー~極上のオトコ!?~
アタシは尚道の真意が知りたくて、彼に電話をかけた。


「関谷ですけど」


「美穂さん?」


その声は小さな驚きが混ざった嬉しそうなものだった。


以前とまったく変わらない。


どこまでお人好しなんだか。


「今日、絵が届きました」


「今の僕にできる精一杯の気持ちです。もしかしたら、これが最初で最後のバースデープレゼントになるかも知れませんけど……」


尚道は明るいトーンのまま言った。


その言葉の意味も、プレゼントの意図も、すべてが謎解きのように不可解で、アタシはイラついた。


「どういう意味ですか?」


「僕、来週からフランスへ行きます。

向こうで才能のある若手画家の数人と契約をする予定です。

若手ではありますが、他の画商たちも目をつけているので、契約金は高額なんですが」


「つまり、契約して売れなかったら、ギャラリーは潰れるってことですか?」


単刀直入に聞くと、戸惑うような短い沈黙があった。


「そ、そういうことになります」




< 295 / 417 >

この作品をシェア

pagetop