エクスタシー~極上のオトコ!?~
タンタンタン。


軽快に階段を下りてくる足音で目がさめた。


枕元の時計を見た。


午前五時。


そっか。


美穂は今日、朝一番の便で札幌だと言っていた。


コンコン――…。


ノックの音。


ドアが開いた。


濃紺の制服に着がえた美穂が立っている。


シニヨンにまとめた髪のせいで、キリリとした顎が一段と際立っている。


明るい色のスカーフを衿元に巻いてなお長く見える首。


やっぱりキレイなのだ。


恨めしいほど。


美穂はパステルカラーの箱を二つ、机の上に置いた。


「これ、一日に三袋。絶食中の栄養が全部補えるし、気休め程度には空腹も紛れると思うわ」


「お姉ちゃん……」


悔し涙が感涙に変わりそうになったとき、美穂がすかさず
「一袋、三千円だからね。今までの借金と相殺しといて」
と、法外な値段を言ってドアを閉めた。


やっぱり美穂は抜け目がない。


それでも、うれしかった。

ありがと。お姉ちゃん。

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