エクスタシー~極上のオトコ!?~
私は言っていいものかどうか、迷いながら
「う、産もうと思ってるの」
と、決心を打ち明けた。


「産めばいいじゃん」


エクスタシーはあっさり言った。


「ほ、ほんとに産んでいいの?」


「いいけど……。そっちこそいいわけ?」


「え? わ、私?」


エクスタシーはビールをひと口飲んでから
「うん。俺、今、無職だけど」
と、真顔で私を見た。


「そ、そうなんだ……」


もともとあてにしていたわけじゃない。


かと言って、金銭的なメドがたっているわけでもない。


「子供って、カネかかるんだろ?」


「た、たぶん」


「俺、また、水商売でもいい?」


「う……。それは……」


絶対、いやだ……。


「他に才能ないしな。かといって、父親が悪徳高利貸しってのもマズイだろ」


「それはそうだけど」


そこまで話したとき、再び玄関の呼び鈴が鳴った。


思わず見上げた時計は十一時を指している。


今度こそ、ママだ……。


エクスタシーは相変わらずの自然体で、ビールを飲みながらテレビを見ている。


今日は例の雑誌を持っていないだけ、まだマシか。


私には玄関で母を出迎える勇気はなく、エクスタシーの横に座ってドキドキしながら母が入ってくるのを待った。









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