エクスタシー~極上のオトコ!?~
「意外に空いてましたね」


運転手の声で、あたしは野望から覚めた。



時計を見る。


ショウアップの時間までにはまだ三十分もあった。


あたしはチッと舌打ちしたいのをこらえ、車を降りた。


「チクショウ! あと20分は寝れたじゃないのよッ」


カートを引きずって、空港内の本社ビルに向かった。


オペレーションセンター。


ここの端末で出社の入力を行い、今日のフライトについての情報を得る。


機体の種類。


天気。


けど、一番大事なのはこの便にどんなVIPが乗ってくるかってこと。


その次は一緒に乗務するメンバー。


ふんふん。


今日の機材はボーイング777……。


この機種には今春から国内線にもファーストクラスが導入された。


乗客名簿、乗客名簿……。


ダメだ。


リストを見る限り、特等席の乗客は全員が六十を過ぎてる。


アタシをセレブにしてくれそうな人材は見当たらない。



今日のフライトが終わった瞬間だった。





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