トライアングル・ラブストーリー
「そんな…。申し訳ないです。部長が濡れます」
「だから俺はいいから。」
部長は私の手に傘を持たせると「明日返してくれればいいから」とだけ言って走り去って行った
微かに残った部長の手の温もり
「あったかい」
私はその温もりを失わないようしっかりと握りしめた
これからどうしよう?
家に帰れば拓海もいつか帰って来る
だからといって実家に帰ると心配させちゃうし…
そうだ、沙織!!
あ、でもクリスマスだしさすがに無理か…
諦めた私はとりあえず近くのビジネスホテルで一夜を過ごすことにした
ホテルに着いて一息ついた頃から鳴りっぱなしの携帯電話
きっと拓海からだろう
あ、また思い出してきた
涙が頬を伝う
(もう寝よう…)
携帯の電源を切り私は眠りについた
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