トライアングル・ラブストーリー


その人は中から鍵をかけると、いきなり私を抱きしめた


懐かしい匂い…


大好きだったあの人の…


「拓海…?」


「奈々、あんな奴やめとけよ」


「え?」


「俺は奈々が好きだ」


「ちょ、ちょっと待って、拓海。私が好きって、裏切ったのは拓海でしょ?なのに今更…」


そう言って、拓海から離れる


「それは、本当に悪かったと思ってる」


「だったら!!」


「けど、奈々じゃなきゃ駄目なんだよ…。俺には奈々が必要なんだよ……」


そう言う拓海の顔はとても嘘を言っているようには見えなかった



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