“無”な彼。



「……は?」


私の考えは、ずるかったのかもしれない。

山内くんとの接点をつくりたかっただけ。


まさか、こんな顔をされるとは思ってもみなかったよぉ…。



「えっと…、今のは全部忘れて下さい…」


あんなこと考えるんじゃなかった、と今更後悔していると山内くんは呆れ笑いをして、



「明日、漫画持ってくから」


そう言うと、先を歩いて行ってしまった。




“明日、漫画持ってくから”


耳に残っているその言葉。




コンビニで山内くんに会って、

声をかけたら無視されて…。


告白したら断られて、

でもそれはただの誤解で…。



散々だった。

もし……ここで終わっていたら。


その後は、


山内くんの笑った顔を見れた。

山内くんの笑った声を聞けた。

山内くんといっぱい喋った。


それだけでも幸せなことなのに…。



明日は山内くんに漫画を貸してもらえる。

しかも、大好きな漫画を…。




もちろん、コンビニの帰りはルンルンとスキップをして帰ったのは言うまでもない。


.
< 9 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop